ECサイトの利用者は年々増えており、2025年以降もさらに増加すると予想されています。
そして、各社のECサイトが次々にサービスを拡充しているため、ユーザーはより利便性が高く、自分に合った情報や体験を提供するサイトを選ぶようになりました。ECサイトを作れば売れる時代は過ぎ去り、ユーザーごとのニーズに合わせた情報を提供する「パーソナライズドマーケティング」が重要視されるようになっています。
この記事では、ECサイトの作り方を初心者でも始められる方法から、運用を成功させるためのパーソナライズドマーケティングについて、わかりやすく解説します。
目次
ECサイトとは
ECサイトは、インターネット上で商品やサービスを販売するためのWebサイトです。商品の画像や価格を掲載し、購入者がオンラインで注文を完結できる仕組みを備えています。実店舗とは異なり24時間365日運営できるため、幅広い顧客層にリーチできる利点があります。
ECサイトとネットショップの違い
ECサイトは、インターネット上で行われる取引全般を指します。企業から一般消費者への販売だけでなく、企業間取引や、デジタルコンテンツなどの取引も含まれます。
一方、ネットショップは、企業から一般消費者への商品販売が中心で、実店舗を持つ企業のインターネット販売や、個人事業主が展開している小規模な取引サイトを指すことが多いです。
たとえば、Amazonや楽天市場などのモールでは、以下のように呼ばれています。
- Amazonや楽天市場:ECサイト(モール型ECサイト)
- Amazonや楽天市場に出店している店舗:ネットショップ
ECサイトの市場規模
ECサイトには、大きく分けると、BtoB EC(企業間取引)とBtoC EC(企業から個人への販売)の2種類があります。
経済産業省の調査によると、2023年のBtoC ECの国内取引は24.8兆円、BtoB ECは465.2兆円に達しました。ECサイトの市場規模は、今後も増加が見込まれています。
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ECサイトの作り方 4パターン
ECサイトを構築する方法は、大きく分けると4パターンあります。ビジネスの規模や目的、技術力に応じて最適な方法を選択しましょう。以下の4パターンについて、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
- ASP型サービスを利用する方法
- オープンソースを利用する方法
- パッケージソフトを利用する方法
- フルスクラッチで作る方法
ASP型サービスを利用する方法
近年増えているのが、ASP型サービスを利用したECサイトです。
ASP型サービスを利用したECサイトとは
ASPとは、Application Service Providerの略で、ECサイト作成用のテンプレートや管理画面を提供している事業者のことをいいます。たとえば、ShopifyやBASE、カラーミーショップなどが有名です。
これらのサービスを利用すると、プログラミングなどの専門知識がなくても、画面操作によってECサイトを構築し、運用を始めることができます。
ASP型サービスのメリット・デメリット
ASP型サービスには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
<ASP型サービスのメリット>
- 導入費用が比較的安い
- 専門知識がなくてもECサイトを立ち上げられる
<ASP型サービスのデメリット>
- ランニングコストが発生する
- デザインや機能のカスタマイズに限界がある
オープンソースを利用する方法
ECサイトをある程度カスタマイズして作りたい場合には、オープンソースを利用する方法もあります。
オープンソースを利用したECサイトとは
オープンソースとは、無償で公開されているプログラムのソースコードのことをいいます。ECサイト専用のソースコードが公開されているため、誰でも無料で利用して、カスタマイズしたECサイトを構築することができます。国内では、EC-CUBEや、WordPressのプラグインであるWooCommerceが多く利用されています。
オープンソースのメリット・デメリット
オープンソースの利用には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
<オープンソースのメリット>
- ビジネスモデルに合わせてカスタマイズができる
- システムの利用は無料なので、比較的安価に本格開発ができる
<オープンソースのデメリット>
- システム開発の専門知識が必要
- セキュリティ対策や保守を自社で行う必要がある
パッケージソフトを利用する方法
中規模から大規模のECサイトを作る場合には、パッケージソフトを利用してECサイトを構築する方法があります。
パッケージソフトを利用したECサイトとは
パッケージソフトとは、ECサイト運営に必要な基本機能があらかじめ組み込まれているソフトウェアのことをいいます。パッケージソフトの代表的なものに、futureshopやコマース21などがあります。
パッケージソフトのメリット・デメリット
パッケージソフトには、以下のようなメリット・デメリットがあります。
<パッケージソフトのメリット>
- ECサイトに必要な機能が実装されており、比較的早くサイトを立ち上げられる
- セキュリティ対策が施されている
<パッケージソフトのデメリット>
- 初期費用が高額になることがある
- カスタマイズの都度、費用がかかる
フルスクラッチで作る方法
ECサイトをオリジナルで作りたい場合は、ゼロから構築します。この方法を、フルスクラッチといいます。
フルスクラッチで構築したECサイトとは
ECサイトをフルスクラッチで作る場合は、プログラミング言語を用いて、デザインとシステム構築の全工程を自社で行います。大手ECサイトは、フルスクラッチで構築されています。
フルスクラッチのメリット・デメリット
フルスクラッチでの構築には、以下のメリットとデメリットがあります。
<フルスクラッチのメリット>
- 自社のビジネスモデルに完全に合ったシステムを構築できる
- システム変更や機能追加を柔軟に行える
<フルスクラッチのデメリット>
- 開発コストが非常に高く、構築に時間がかかる
- システムの保守や運用に高度な技術力が求められる
ECサイトの売上を伸ばす「パーソナライズドマーケティング」とは
大手ECサイトには、従来から、「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」という形でのレコメンド機能が搭載されていました。今後、このような一人ひとりの興味関心に合う情報提供がますます必要になっていくと考えられています。
パーソナライズドマーケティングが注目される背景
従来のインターネットは、利用者が能動的に情報を探すという使い方でした。しかし近年は、データ活用やAIによる分析機能が発達したことにより、サービス事業者側から利用者に「あなたに最適な情報」「あなたが欲しい情報」を提案するのが主流になってきています。
ECサイトでは、今後ますますパーソナライズドされた情報提供が必要になってくると考えられています。大手ECサイトでは既に取り入れられていますが、2025年には中小規模のサイトにも波及する可能性が高いです。
パーソナライズドマーケティングの種類
ECサイトで取り入れられているパーソナライズドマーケティングには、以下のようなものがあります。
- 商品レコメンデーション
- 最適化されたメールマガジン
- 最適化されたサイト表示
- 最適化された検索結果
それぞれがどういうものなのかを見てみましょう。
商品レコメンデーション
大手ECサイトを中心に、従来から取り入れられてきた「この商品を購入した人はこんな商品も購入しています」というレコメンドの機能です。
AIが発達したことにより、これまで以上に高精度なレコメンドが期待されています。ASP型サービスのECサイトにも基本的な商品レコメンド機能は導入されていますが、外部アプリを使うとさらに詳しく分析された結果が表示されて、売上につながりやすくなっています。
最適化されたメールマガジン
メールマーケティングも進化しており、購買サイクルに合わせた商品補充の提案や、カートに商品が残ったままのユーザーに対する最適なタイミングでのフォローメール送信などが実施されています。
商品カテゴリーごとの購買頻度を分析し、最適なタイミングでメールを配信することで、高い開封率とコンバージョン率を実現できる施策です。
最適化されたサイト表示
SNSのトップページ(フィード)では、各ユーザーの興味関心に合わせてカスタマイズされた情報が載るのが当たり前になりました。カスタマイズされた情報とは、これまでの閲覧履歴・購入履歴に基づいて抽出された投稿のことを指します。
今後はWebサイトでもこの方式が一般的になる可能性があります。ユーザー側が情報を探すのではなく、サイト側が必要情報を提供するという考え方が今後の主流になると予想されています。
最適化された検索結果
検索結果の最適化も、既にECサイトに導入されています。検索結果としてただ商品を表示するのではなく、ユーザーの興味関心に合うものを表示することで、より購入につながりやすくなります。
これらのパーソナライズドマーケティングは、ECサイトの売上向上と顧客満足度の改善に大きく貢献します。ただし、プライバシーへの配慮や過度なパーソナライズの回避など、実装時には適切な配慮が必要です。
パーソナライズドマーケティングを取り入れる方法
ASP型サービスのECサイトにも、商品レコメンドなどの基本的な機能は搭載されています。しかし、より深くパーソナライズされた情報を提供するためには、外部アプリなどを活用しましょう。
たとえばShopifyには、ここに挙げた「商品レコメンデーション」「最適化されたメールマガジン」「最適化されたサイト表示」「最適化された検索結果」に対応する外部アプリが用意されています。それぞれ課金が必要ですが、追加することで、一人ひとりに合わせたマーケティングが可能になります。
ただし、データ蓄積に時間がかかるアプリや、日本語対応が不十分なアプリもあるので、自社に合ったものを探して導入しましょう。
まとめ
この記事では、ECサイトの基本的な作り方と、売上を大きく左右するパーソナライズドマーケティングについて解説しました。
- ECサイトとは
- ECサイトの作り方 4パターン
- ECサイトの売上を伸ばす「パーソナライズドマーケティング」とは
ECサイトの売上は、構築した後の運用次第で大きく変わります。ユーザーが求めているものを正確に把握し、先回りして情報提供することで、売り上げを着実に伸ばしていきましょう。
2025年は、AI技術の発展により、より精緻な顧客行動の予測や、リアルタイムでのコンテンツ最適化が可能になると予想されています。競争の激しい市場で成長を続けるために、自社の規模や強みに合わせて実装可能な施策から段階的に取り入れ、継続的な改善を進めていくことをおすすめします。
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<出典>経済産業省 令和5年度電子商取引に関する市場調査